誰も飼っていない珍しいペットをぜひ飼ってみたいという気持ちはわかりますが、注意しなければならないことがあります。
可愛らしくて飼いやすい動物が全てペットとして認められているというわけではないのです。
もし世界中の人が気に入った動物を勝手に捕獲して、ペットとして飼ってしまうと品種によっては数が減ってしまうこともあります。
世界中の動物が絶命の危機から守るために世界レベルで定めらている法律があります。野生の動物を守るための法律、それがワシントン条約です。
今回はかつて日本でも人気の高かったペット、スローロリスを例にご説明しますね。スローロリスはスローロリスという名前ですが、リスではなくサルです。
スローロリスといえば大きな瞳と短いしっぽが特徴です。インドネシアやフィリピンなど東南アジアに生息するサルで、普段は木の上で生活しています。
ロリスはもともとオランダ語で道化者という意味らしいです。もちろんスローは遅いという意味で、その名の通りスローロリスはとても動きや緩やかです。
スローロリスが他のサルと大きく違うのは毒を持っていること。スローロリスは腕の付け根から毒を出し、それを舐めて体中につけます。
この毒がスローロリスを敵から守ってくれていますが、幸い人間には害はなく、スローロリスを抱っこしてもとくに毒の影響を受けることはありません。
このスローロリス、実は現在ではペットして輸入することはワシントン条約によって禁じられています。
スローロリスがペットとして人気が出たため乱獲されてしまいます。現在は絶滅の危機に瀕しているため新たにペットとして飼うことは禁止されています。
法律が制定される2007年以前に飼われたものは登録され登録票が添付されています。つまり登録票のないスローロリスは全て違法に輸入されたものと考えなければなりません。
国内で繁殖されたものは違法ではありませんが、スローロリスの繁殖は大変難しいためあまり例がありません。
また野生から連れてこられたスローロリスはストレスや感染症で死んでしまうことも少なくありません。
ワシントン条約では完全に禁止されているもの、規制されているもの、捕獲を国内で制限しなければならないものに分けられます。
珍しいから、かわいいからという理由で私たちは安易にペットを飼いますが、それがどんな種類の動物であってもその動物の育った背景や生息数などをきちんと知ることが大事です。
手に入りにくい、珍しいという理由だけで闇雲に欲しがって、それに付け込んだ犯罪者が違法に入手した動物を売りつけるという構図ができあがらないようにしなくてはなりません。
珍しいペットをおすすめしておいてなんですが、結局野生の森で暮らす動物たちにとって自然の中で生きることが一番幸せなのです。
それを人間の勝手で都会へ連れてきてしまうのですから、迎え入れる動物たちができるだけ幸せに生きていけるように心をこめてお世話をしましょう。
ワシントン条約などのルールをきちんと把握し、そのルールに乗っ取ってペットを飼うことが大事です。知らなかったでは済まされないのです。
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